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2010年7月

パワーLED

Img_6275 ライトは僕たちカメラマンにとって重要なファクターであって、これでいいやって妥協点がなかなか得られない。で、新しい製品が出たらチェックはするし、ずいぶん入れ替えてもきている。ビデオライトは定番ともいえるサンレイのHIDライトをメインで使っているのだが、照射角や照射時間にほぼ満足できるものの、バルブが高価で、一個切れると3万円もの消耗費が派生してしまう。

既存のライトを改造したり、使いやすいように作り変えたりすることもしばしばで、今回新しく改造した物をご紹介。

筐体は古くってSea&Sea社のCL-50というライト。元々は6Vのニッケルカドミウムバッテリーで点灯するハロゲンライト。今となっては配光にムラがあり、良くこれを使ってたなというものだった。20年前は水中はこれしかなかったんだよね。このライトを12Vのニッケル水素単三10本組みに変更し、車用のPIAAのホワイトバルブに換装、80Wで130Wの明るさというものに改造したのが第二世代。

今回はこいつをPOWER-LEDに換装してやろうと思ったのだ。

今の僕のライトはやはりメインがHIDで、これは高価だけれど色の深みが出る点や、色のコントロールがしやすいのでLEDライトに比べるとやっぱりこっちかな?と思っていたのです。これは今も変わりがないのだが、より広角照射で、長時間持ってくれるものの必要性を感じ、現在日進月歩のPower LEDをいろいろチェック!きちんと白い色を出すためにちょっと勉強して回路を考えてみた。

LEDは単純に抵抗をかまして簡単に発光だけならできるのだが、時間の経過と共に明るさはだんだん落ちて色も変わってしまう。 そこでニッケル水素パック電池から12V想定の電圧と流す電流量を自動的に安定化する回路を組み込んだ。

最適な電圧に自動昇圧&降圧、電流量は700mA/Hで一定制御。この回路が組み込めたから数あるパワーLEDのなかで、使いたいタイプのメーカーの型番のものを6個装着できた。

明るさも大事だけれど、ニュートラルな色と照射角がもっとも大事!

Img_6278_2 しかしながら作ってみると、合計15Wの効率になるように組み込んだLEDは想像以上に明るい。   思っていた以上にね。配光も120度のものを放射状に並べているおかげできれいな円配光になった。

熱対策は大型のアルミヒートシンクを土台にし、ガラス面側にアルミよりもさらに放熱性が高い銅製の小型のものを4個並べて装着。いい具合に水中に放熱できそうだ。

これで理論上は3時間以上安定した光源ができたはず。

サブライトで今年から活躍していただこう。うちのライトの7番目の秘密兵器となったPowerLEDのご紹介でした!

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COVE2

Kujira04 The COVEを見て思ったことの続編です。クジラは大丈夫でも、イルカを食べるということに関して、多くの人はちょっと抵抗を感じるでしょう。あのかわいい姿をしているあんなにかわいい生き物を殺さないで!地球上でイルカは人間がコミュニケートできる生き物の一つなのよ。というのが本題でしょう。大量虐殺という方法をメインにすえて、そのメッセージを伝えたい。きっとマンディーとカークもそういった想いで撮影に参加したのが最初でしょう。また映画を見る限りそれ以外テーマやメッセージはないのです。

この映画の中では鯨類が生態系の頂点に近い生き物で、水銀の含有率(体内蓄積率)が高く、1960年代の熊本での水俣病患者の映像を引き合いに出し、食材として危険だということも出していましたが、水俣病は工場廃液が問題になった話で、食材からの水銀含有率とは繋がらないはずです。生態系の裾野から頂点を見ていけば、水銀の含有率の高いものはマグロとか他の大型の魚類もそうだし、僕たちが食べさせていただいている海の生き物のありとあらゆるところに関係します。

工場廃液が食にもたらす危険性は、すでに日本人は1950年代以降に水俣病他で学んできています。それが世界中の人に今でも影響を受けている生き物を好んで食べている(映像では工場の風景と水俣病患者、イルカの映像をフラッシュバックのように取り上げてました)といった誤解を持たせるような表現になっていたのは正直悲しいですね。

鯨の肉から成分分析したら20000PPMの水銀が検出。とありましたがどこのどんな鯨の肉なんでしょう?ちょっと信じられませんでした。このデータが本当ならこのクジラの死因は水銀中毒でしょう。僕たちが安全じゃないかも知れないと思っている線引きは0.4%だと水産庁のデータではされています。まれにこれに近いラインの水銀が検出されることもあるから妊婦さんなどは毎日のように継続的には食べないほうがいいよというのが推奨されています。これはクジラ類だけではなく、マグロなどの大きな魚も含みます。

さて、前回の中でイルカ肉と沿岸捕鯨の鯨類との絡みについて、ほんの少しだけ書いてみましたが僕なりに思ったこと、気になったことをさらに書いてみます。

イルカの分類でおそらく欧米人の考える線引きは、沿岸性の小型の鯨類をひっくるめてイルカとし、巨大なものをクジラと呼んでいると思います。多くの今の若い人もそうでしょうね。しかしながら日本人の鯨食を行なってきた文化では、イルカはバンドウ、スジイルカ、マイルカ、ハシナガ、ネズミイルカあたりを指し、ちょっと大きなハナゴンドウ、マゴンドウ、ユメゴンドウ、ツチクジラはその他の大型クジラに入れてしまいます。

僕は食に関しては、好奇心旺盛で、何でも食べられるものは食っちゃってきました。そんな連載をつり雑誌で行ない、単行本化もしています。「海の幸海の味」「渚のスローフード」・・・イルカの肉も刺身用の皮付きを薄くスライスしたものを食べた経験ありです。(バンドウ)連載ページでもすでに紹介しています。このイルカの肉はかなり癖が強く、臭みも感じました。これはかなり好みの問題もあるけど、好んで何度も刺身ではいただきたくないなと思ったものです。太地では好きだという人も多いのですが・・・それに対しハナゴンドウはまったく別の味わい。

僕も浜辺で漁師さんに誘われ、浜で解体されたハナちゃんの肺を茹でて(うでものという)からし醤油でいただいたり、いろんな部位をいただきました。こっちは僕の日本人としての味覚嗜好に合うのです。事実太地では同じゴンドウの仲間でもマゴンドウが捕れたら、お正月用に冷凍して置いておくというぐらい値段も異なるのです。

こんなところからイルカとクジラの線引きも行なわれてるんだなと思っています。鯨食文化として考えれば、房総半島で食べられるツチクジラも漬け汁に浸け、干して「タレ」として食べる独特の食い方が現在も残っているのは、やっぱりうまいから。

人間の食という文化は世界中で異なります。食文化の違いはその民族が何を食って暮らしてきたか?何をおいしいと感じるかの違いが根底にあります。

つまりうまいと感じるかそうではないのか?

そのギャップが欧米と日本とでは大きく異なることから今回のような映画を作るきっかけになっているんでしょうね。

ちょっと前まで「生で魚が食える?」と獣肉文化圏の人と飲食を共にする際には聞いていたものですが、いまや世界中の寿司ブームで普通にRAWFishは食べられるようになりました。炙り(あぶり)トロや炙りサーモンは多くの外国人が好んで食います!ミンククジラのさえずり(舌の部分)や尾の身を軽く炙って寿司にして食えばどれだけうまいか!一度何もいわずに経験させたら驚くと思う。今の飽食の中国人に教えたらきっと世界中のクジラを捕ると言い出すはず。(笑

Kujira03 写真は太地町にある、地元の人が行くクジラ料理のお店「しっぽ」でいただいたゴンドウのさまざまな料理。

ここで食えばクジラってこうやって食べたらおいしんだってきっと目からうろこですよ。ほとんどのメニューが500円ぐらいで食える。僕の「渚のスローフード」でもこのお店載せてるんで、詳しくはそちらをご覧ください。単行本持っていったら、きっとサービスしてくれるよ!

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COVE

A75g6298

COVEという話題の映画を見てきた。和歌山県太地町を舞台とした、反捕鯨の映画で、今年のアカデミー賞ドキュメンタリー部門受賞の映画だ。いろいろなところで物議を醸し出している。東京の上映予定館が、捕鯨推進派の過激な人たちの抗議行動を恐れて上映中止にしたり、和歌山県知事が抗議声明を送ったりと、ある意味日本でも話題となった。

大阪では上映されてないと思っていたのが、十三の第七 藝術劇場というマイナーな映画館でやってると知り、これはある意味海で生きる僕としては見ておかねばと、足を運んだのだ。この映画館はマイナー映画を積極的に紹介するA75g6302 ことで有名で、館内は上映15分前に見るとその待合室ではこんなゆるーい風景が見られる。

僕はまんざら太地町という場所と付き合いがないかというとそうでもなく、15年ほど前に太地町立くじらの博物館の館内と自然環境プールで撮影を行ない、その外洋でホエールウオッチング船に乗り込んで自然の中を泳ぐクジラたちを撮影に行き、戻ったら浜で解体される小型の鯨類を見ていた。そこには普通に地元小学生が通学し、生き物の命をいただいているという、命の尊厳をひょっとしたら日本で一番理解している町民でもあるという印象を持っていた。したがって、海外から、あるいは日本の各地から「太地の人たちは野蛮だ」という投書やWebでの誹謗中傷の書き込みが多く行なわれることに、ちょっと違うかな?という自分なりの考え方があった。

太地の人たちにとって大海原を泳ぐクジラやイルカを捕って食べることは、大型の魚、カジキやマグロを捕ることと大差ないと考えられていると思う。小学生がランドセルを背負って通学するすぐそばで解体がされ、その日解体された鯨類が夜の食卓に上っていることが普通に行なわれている日常生活のひとコマなのだ。スーパーのパック詰めの牛肉や豚肉を見て手を合わせて食べている小学生や、一家が都会にはどれほどいるんだろう?  まず命を奪って食べさせていただいているという意識が皆無に違いない。

さて、映画が始まってしばらくして、僕は固まってしまった!TVの紹介する、あるいはWEBサイトで流されていたダイジェスト版では解らなかったのだが、準主役ともいえる、フリーダイバーの二人、カーク・クラックとマンディ・レイ・クリュイックシャンクという僕の友達が登場していたからだ。彼らとは2004年に一緒に日本でフリーダイビング講習会を行なう際、和歌山の白崎海洋公園でともに同じログハウスで過ごし、別れるときにはハグして別れたのだ。さらに、この映画を見て解ったことだが、3年前に彼らが映画の撮影で日本を訪れていることを知り、関西空港で再会し、近況はどうだい?なんて話をしてまたもや二人とハグして別れていたのだった。

今思えば、その時に「どんな映画の撮影だったんだい?」と聞いたときに「伊勢のほうで撮ってたんだよ」という具合になんだか雰囲気がおかしいなと感じたことを思い出した。

彼らにしてみれば日本人の敵になるようなアクションを起こしてしまっているという後ろめたさもあったんだろう。

映画の内容をじっくり見だしてから感じたのは、それなりに良くできたドキュメンタリーであるということは確かなのだが、

冒頭のシーンから全編で使われている撮影器材のお金のかかり具合にも驚かされた。普通にインタビューで行なわれているカメラが最低ラインでHDCAMだし、暗視カメラ、フェイクの岩に仕込まれた特殊カメラ、CGの使われ方、ありとあらゆる部分におそらく数千万では効かず、億単位のお金が使われていうことが想像できた。この出所が自然保護団体への献金や寄付で成り立っていることは安易に想像できる。  カークとマンディーは、コンセプトに共感して参加したんだと、劇中言っていたが、かなり捻じ曲がったコンセプトに踊らされたんだと思っている。

まず不思議だなあと思ったのが、すべて反捕鯨派視線の考え方で凝り固まっている脚本の構成。

日本人の発するなぜ捕鯨が重要なのかの本質がそこにはなく、IWCの日本代表の人や太地の人々の言動や行動が非常にあいまいになっている。

演出的にずるがしこい敵役になっているのだ。さらになぜ捕鯨がダメなのかを、無理やり水銀の蓄積率が高い生き物だからとか、水俣病を引き合いに出しているところがかなり科学的に考えてみてもおかしい。

また日本人は年間2万3千頭ものイルカを殺して食べているというということが事実としてあるんだよと東京、大阪などの大都市での街頭インタビューシーンで収められているが、実際には日本全国で捕られている鯨類全般を指している。

つまり、僕たちは子供の頃から食べていたクジラの肉というものは沿岸捕鯨で捕られるマゴンドウ、ハナゴンドウ、ツチクジラ、などの小型のクジラ類が大多数で、これらは種の保全に影響を及ぼさないほど個体数が多いことはホエールウオッチング船に乗ってみれば解ることだ。でも彼らがいうイルカとはこれら小型のパイロットホエールも含んでいる。太地漁協スーパーではあるいは串本エリアで売られているパック詰め「イルカ肉」はきちんとイルカと書かれているのだが、ハナゴンドウはクジラと記載されている。

これが劇中では虚偽申告表示だといってるのだが、歯鯨の仲間はどこからどこまでがイルカでどこからがクジラなのかの定義がないから欧米人が考えるイルカ(これにはゴンドウ類も含む)に対して、日本人が考えるクジラの定義が異なることから起こっているに違いない。

商業捕鯨と調査捕鯨の定義にしても両者の考え方が異なっている、さらに鯨類を海洋資源と考えるか、愛玩動物、フレンドリーな存在ととらえるかで考え方が異なることは安易に想像できる。日本政府は調査捕鯨がなぜ行なわれているか、なぜ行なわなければいけないのかということを政府広報でしっかりと自国民にまず説明すべきだと思う。

ここがあいまいだから、この映画が公開されても臭いものにはふたをしろ的なアクションが起こるんだと思っている。

水産資源の保全が今の日本、さらには世界レベルで行なわなければ20年後には深刻な食料資源不足が起こることを一般国民にもっと明確にきちんと伝えるべきだ。

毎年リーダーが変わってしまって、自分たちの首の心配ばかりしている政治家たちに期待しても仕方がないのかもしれないが・・・

今日一日、ずっと考えさせられる一日になった。最後には某プロダクション社長と、元読売アナウンサーの羽川さんと一緒に飲んだんだけど、この話題もずいぶん熱い話になっていたし、濃い一日だったなあ!!

A75g6301 最後の一枚写真。上映館の壁面には待ち時間に読めるようにいろんな書籍が置かれていた。なんだか普通の映画館とやっぱり違うよね!!

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4K

1h3x7498_2 某御大のお招きで、 沖縄座間味で4Kと呼ばれる次世代ハイビジョンカメラの撮影に参加してきました。4Kというと一般の人には馴染みがないかもしれませんが、今のフルハイビジョンの1080X1920画素の画面の情報量の約4倍という高精細の映像です。

この中のカメラシステムを設計製作したのが、アストロデザイン株式会社。特殊映像機器類の製作では日本の最先端を行く会社だ。写真を見てみるとその大きさがピンとこないかも知れないが、普段僕が使っているSSPの業務用Z1J用ブリンプとそんなに大きさは大差ない。HDW750などに較べるとはるかにコンパクト。しかしながら収録を光ケーブルを使って船上で色目やゲインなどのコントロールも含めて行なう運用スタイルなので、ケーブルの引き回しに少々経験が必要。今までの音声のみのケーブルと違い、浮力も考えたものとなっていた。 太さが結構あるので、長く出しているときに流れのあるポイントでは船に戻る際にちょっと真剣に泳ぎましたね。

映像は驚くほど高精細。これを使って100インチオーバーのプラズマディスプレイや液晶ディスプレイで見たら、キンメモドキなどの小さな小魚の群れの一匹ずつの胸ビレの細かい動きまでが鮮明に見えるようだ。

船上では4倍の高精細モニターで確認しながらの撮影となったが、20分ぐらいの収録データを宿に帰ってから17時間かけてコンピューターでレンダリングという作業も伴う。ワンカットごとにRAW現像するのはREDONEなどと同じ。

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撮影で苦労したのはそのピントのシビアさと、ブレに対するシビアさ。わずかなブレでも大画面を考えると増幅してしまう。したがって、三脚を持ち込んで、固定して撮影が多くなるのだが、ディスタンスを考えないと水中生物の色が出ない。接近しないと色が出ないことは水中撮影に携わったものならよく知られてるところだ。

アザハタの撮影時、水深がそこそこ深く、ボートの係留できる場所が遠く、100mケーブルがほとんどすべて船上から出てしまっていた。でも座間味セーリングのオーナーの読みどおり、早朝の潮止まりに入ったので、いい画が撮れた。帰路ミノカサゴを中世浮力コントロールのみで寄りで正面から狙ったショットは我ながらハマッタと思う。

デモ映像は7月1日、2日の展示会で活躍してくれたようだ。さて次はこいつで何を狙おうかな?

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