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COVE

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COVEという話題の映画を見てきた。和歌山県太地町を舞台とした、反捕鯨の映画で、今年のアカデミー賞ドキュメンタリー部門受賞の映画だ。いろいろなところで物議を醸し出している。東京の上映予定館が、捕鯨推進派の過激な人たちの抗議行動を恐れて上映中止にしたり、和歌山県知事が抗議声明を送ったりと、ある意味日本でも話題となった。

大阪では上映されてないと思っていたのが、十三の第七 藝術劇場というマイナーな映画館でやってると知り、これはある意味海で生きる僕としては見ておかねばと、足を運んだのだ。この映画館はマイナー映画を積極的に紹介するA75g6302 ことで有名で、館内は上映15分前に見るとその待合室ではこんなゆるーい風景が見られる。

僕はまんざら太地町という場所と付き合いがないかというとそうでもなく、15年ほど前に太地町立くじらの博物館の館内と自然環境プールで撮影を行ない、その外洋でホエールウオッチング船に乗り込んで自然の中を泳ぐクジラたちを撮影に行き、戻ったら浜で解体される小型の鯨類を見ていた。そこには普通に地元小学生が通学し、生き物の命をいただいているという、命の尊厳をひょっとしたら日本で一番理解している町民でもあるという印象を持っていた。したがって、海外から、あるいは日本の各地から「太地の人たちは野蛮だ」という投書やWebでの誹謗中傷の書き込みが多く行なわれることに、ちょっと違うかな?という自分なりの考え方があった。

太地の人たちにとって大海原を泳ぐクジラやイルカを捕って食べることは、大型の魚、カジキやマグロを捕ることと大差ないと考えられていると思う。小学生がランドセルを背負って通学するすぐそばで解体がされ、その日解体された鯨類が夜の食卓に上っていることが普通に行なわれている日常生活のひとコマなのだ。スーパーのパック詰めの牛肉や豚肉を見て手を合わせて食べている小学生や、一家が都会にはどれほどいるんだろう?  まず命を奪って食べさせていただいているという意識が皆無に違いない。

さて、映画が始まってしばらくして、僕は固まってしまった!TVの紹介する、あるいはWEBサイトで流されていたダイジェスト版では解らなかったのだが、準主役ともいえる、フリーダイバーの二人、カーク・クラックとマンディ・レイ・クリュイックシャンクという僕の友達が登場していたからだ。彼らとは2004年に一緒に日本でフリーダイビング講習会を行なう際、和歌山の白崎海洋公園でともに同じログハウスで過ごし、別れるときにはハグして別れたのだ。さらに、この映画を見て解ったことだが、3年前に彼らが映画の撮影で日本を訪れていることを知り、関西空港で再会し、近況はどうだい?なんて話をしてまたもや二人とハグして別れていたのだった。

今思えば、その時に「どんな映画の撮影だったんだい?」と聞いたときに「伊勢のほうで撮ってたんだよ」という具合になんだか雰囲気がおかしいなと感じたことを思い出した。

彼らにしてみれば日本人の敵になるようなアクションを起こしてしまっているという後ろめたさもあったんだろう。

映画の内容をじっくり見だしてから感じたのは、それなりに良くできたドキュメンタリーであるということは確かなのだが、

冒頭のシーンから全編で使われている撮影器材のお金のかかり具合にも驚かされた。普通にインタビューで行なわれているカメラが最低ラインでHDCAMだし、暗視カメラ、フェイクの岩に仕込まれた特殊カメラ、CGの使われ方、ありとあらゆる部分におそらく数千万では効かず、億単位のお金が使われていうことが想像できた。この出所が自然保護団体への献金や寄付で成り立っていることは安易に想像できる。  カークとマンディーは、コンセプトに共感して参加したんだと、劇中言っていたが、かなり捻じ曲がったコンセプトに踊らされたんだと思っている。

まず不思議だなあと思ったのが、すべて反捕鯨派視線の考え方で凝り固まっている脚本の構成。

日本人の発するなぜ捕鯨が重要なのかの本質がそこにはなく、IWCの日本代表の人や太地の人々の言動や行動が非常にあいまいになっている。

演出的にずるがしこい敵役になっているのだ。さらになぜ捕鯨がダメなのかを、無理やり水銀の蓄積率が高い生き物だからとか、水俣病を引き合いに出しているところがかなり科学的に考えてみてもおかしい。

また日本人は年間2万3千頭ものイルカを殺して食べているというということが事実としてあるんだよと東京、大阪などの大都市での街頭インタビューシーンで収められているが、実際には日本全国で捕られている鯨類全般を指している。

つまり、僕たちは子供の頃から食べていたクジラの肉というものは沿岸捕鯨で捕られるマゴンドウ、ハナゴンドウ、ツチクジラ、などの小型のクジラ類が大多数で、これらは種の保全に影響を及ぼさないほど個体数が多いことはホエールウオッチング船に乗ってみれば解ることだ。でも彼らがいうイルカとはこれら小型のパイロットホエールも含んでいる。太地漁協スーパーではあるいは串本エリアで売られているパック詰め「イルカ肉」はきちんとイルカと書かれているのだが、ハナゴンドウはクジラと記載されている。

これが劇中では虚偽申告表示だといってるのだが、歯鯨の仲間はどこからどこまでがイルカでどこからがクジラなのかの定義がないから欧米人が考えるイルカ(これにはゴンドウ類も含む)に対して、日本人が考えるクジラの定義が異なることから起こっているに違いない。

商業捕鯨と調査捕鯨の定義にしても両者の考え方が異なっている、さらに鯨類を海洋資源と考えるか、愛玩動物、フレンドリーな存在ととらえるかで考え方が異なることは安易に想像できる。日本政府は調査捕鯨がなぜ行なわれているか、なぜ行なわなければいけないのかということを政府広報でしっかりと自国民にまず説明すべきだと思う。

ここがあいまいだから、この映画が公開されても臭いものにはふたをしろ的なアクションが起こるんだと思っている。

水産資源の保全が今の日本、さらには世界レベルで行なわなければ20年後には深刻な食料資源不足が起こることを一般国民にもっと明確にきちんと伝えるべきだ。

毎年リーダーが変わってしまって、自分たちの首の心配ばかりしている政治家たちに期待しても仕方がないのかもしれないが・・・

今日一日、ずっと考えさせられる一日になった。最後には某プロダクション社長と、元読売アナウンサーの羽川さんと一緒に飲んだんだけど、この話題もずいぶん熱い話になっていたし、濃い一日だったなあ!!

A75g6301 最後の一枚写真。上映館の壁面には待ち時間に読めるようにいろんな書籍が置かれていた。なんだか普通の映画館とやっぱり違うよね!!

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