« 2008年1月 | トップページ | 2008年3月 »

2008年2月

エルトゥールル号3

Hq9r4745水深15m付近で発見された、当時の水兵が付けていたと思われるバッチ。
このバッチにはトルコのマーキングが見て取れ、今現在の軍服と若干ディティールが異なるものの、ほぼ同じデザインになっている。この写真はトルコで最も大きな新聞社の一面で大きく扱われて掲載されたという。
持っているのが今回の発掘調査チームのリーダーであるトゥファン氏。この他にも当時のものがずいぶん発掘された。
トータルで1200点を超える遺物が今回引き上げられ、保存処理にかかっている。昨日19日最終的に串本にて記者発表が行われたはずだ。(僕は雑誌記事編集等で先に帰っちゃった)
とりあえず第一弾は来月10日発売の月刊ダイバーでこの模様はお伝えします。
買ってみてみてくださいね!

いろんな手法や、海洋考古学のありかた、ほぼ1ヵ月に及んだトルコ海洋考古学研究所の人たちとの交流から、伝えたいことがいっぱいありすぎて、これから様々なメディアでの露出を踏まえて動いていきます。
多くのニュースメディアが取材をし、このトルコと日本の関係を報道していくはずですが、僕が現状でおかれているスタンスは一報道者ではなく、完璧にトルコ海洋考古学研究所のチームの一員として動いています。
したがって、報道では入れなかった現場や報道陣が取材されていない部分もたくさん見たし、経験してきました。
この記録作業はハイビジョンカメラとスチルカメラで行ってきたのですが、今回僕自身も記録にあたって、ちょっと前年から考えていたことを実行。
ハイビジョン映像収録時にリアルタイムで自分でレポートをフルフェイスマスクを使って音声収録してみました。
一日はトゥファンにもフルフェイスを付けさせて本人にもレポートさせたのですが、
作業に制限が出るので(動きにくいとか息苦しいとか)あとは自分がほとんど日本語でしゃべっています。この模様は今年に露出することが日本では難しいかもしれませんが、前年のもの含めて、先々でまとめてオンエアできるでしょう。
トゥファン氏とも日本での映像使用権について、こちらに全面的に任せてもらえる関係になったので、遺物里帰りの2010年目指して、毎年このシーズンに撮影を続けることになります。Hq9r4868
国内だけではなく、トルコのナショナルジオグラフィック誌との連携、アトラスというヨーロッパの雑誌(ナショジオのヨーロッパ版のような自然科学誌)での露出もしていきます。
お楽しみに!
左の写真は和歌山県議会の方々が表敬訪問された時のもの。中央ポコンと背が高いのがトゥファン。
右端が僕です。トゥファンと串本町内をうろついていると、おばあちゃんなどは僕もトルコ人だと思うのか、挨拶すると、「日本語しゃべらはった!」と驚かれたことも…苦笑。

下が今回のプロジェクトのスタッフジャンパー。インナーフリースが取り外して単体でも着ることができるすぐれもの。中央のベルタさんが着ているものが僕のものになることに・・・
気に入って最近着まくってます。Hq9r5268
715659750_229

| | コメント (4) | トラックバック (0)

エルトュールル号2

Img_0502エルトュールル号の遺物捜索活動も終盤を迎えるにいたった。
今回は前年までの単なる上からの金属探査や、ソナー探査、目視による遺物の確認以外に、本格的に掘り起こしての捜索が行われている。
前のブログで、テストパターンのような3D画像作成用のチャートをご紹介しましたが、今回はドレッジシステムのお話です。
ドレッジシステムとは水中考古学の世界で取り入れられている手法で、水中考古学の父といわれるテキサス大学のジョージ・バス博士が考案したものだ。これは水中遺跡発掘や、古くに沈んだ沈船を発掘する際に有効な方法だ。
ふつう水中で砂や小石が降り積もった部分を手でどけてみるとわかるのだけれど、あっという間に周辺に煙幕のように懸濁物が舞い上がるもので、それが視界を遮り、しばらく沈静化するまでじっとしているしかない。
当然のことながら、そんなに効率の悪いことはやってられないので、このドレッジシステムを活用することになるのです。
船上にエンジンを備えた水中ポンプを設置、長いドレンホースを発掘現場まで引っ張り、水流を意図的にコントロール。
吸い込む巨大な掃除機のようなもので砂泥を取り除きながら埋もれた遺物を探し出すのです。吸い込みすぎて、金属製のピンや小さなパーツを紛失しないように、注意深く刷毛で払いながら吸い込んでいく作業は完全なる手作業です。
水温14℃の海でじっと動かず70分から80分間作業するのはほんとうに大変な作業。
これが午前午後と連日続くわけだから体力的にだんだん消耗していく。
しかしながらその努力に見合った見返りとしての遺物が数多く挙がっている。
この詳しい話と写真は月刊ダイバーとナショナルジオグラフィックで順次ご紹介していく予定だ。お楽しみに!!

下の写真はトルコ海洋考古学研究所の所長トゥファンさんの娘さんの「アダ」。とにかく愛嬌がよく、疲れた我々の心を和ませてくれる存在だ。

なんでも息をこらえての潜水が得意なようで、将来はフリーダイバーになるのかな?

水温の低い今の時期ゆえに潜る能力は見せてもらってないけれど、とにかく元気にエルトュールルセンター内を走り回っている!708341123_145 Hq9r4362

| | コメント (0) | トラックバック (0)

水中考古学

Img_0431見慣れぬテストパターンのような模様のシートを水中で撮影。
これが一体何かというのを書き込む前に、まず水中考古学という分野について少しご説明しましょう。
今年から本格的なエルトュールル号の遺跡を発掘引き上げという段階に入ってきたのですが、こういった水中に沈んでいる過去の物体を発掘調査する分野が日本ではかなり立ち遅れています。
アメリカテキサス大学が総本山という感じなのですが、ここの元教授であるジョージ・バスという博士がこの分野を切り開いたといわれていて、海洋考古学の父といわれています。
今回来ているトルコの研究所所長も彼の教え子で、全世界で展開されている海洋考古学は陸上発掘の手法を水中に持ち込んだのと、引き揚げたものの保存処理がどのように行うべきかという学術的な考え方を定着させたものです。
近くでは韓国あたりもこの分野を積極的に学んでいるようですが、日本では専攻できる大学が残念ながらありません。
一般的に展示物として残しているものも、例えばトルコ記念館に引き上げられて展示されている遺物にしても、日本の場合そのままなので、ボロボロに崩れてしまうケースがほとんどです。
木材などは、水中で発見された状態のときには細胞膜のなかに水が入っているので原形が保たれているのですが、引き揚げて乾燥させてしまうと、すぐに崩れ出すのです。
したがって、脱塩処理をしながら、乾燥させた部分の細胞膜内に樹脂やセルロースなど適材適所で注入していかねばなりません。
この作業が非常に手間のかかるもので、引き揚げが1日で終わっても後処理が2か月かかってしまうのです。
また金属や、有機物である革製品などの処理方法も異なり、それぞれ処理に膨大な時間と労力が必要になるのです。
このため今回の引き揚げも5年の歳月を要するのです。

さて写真は何のテストチャートかというと、これは僕が使っているカメラの広角レンズのひずみを解析して3Dで撮影した画像を再現するために必要なものらしいです。
あらゆる角度からこのチャートを撮影するところからスタートです。
ディストーションをコンピューター解析する作業は所長の奥さんであるベルタさんの専門分野ということで、画像はベルタさんの手に渡りました!

| | コメント (3) | トラックバック (0)

« 2008年1月 | トップページ | 2008年3月 »