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新年

671922520_48縁起を担ぐほうではないのだけれど、こんなのが出るとちょっとうれしくなりますね。

さて、今年は国際サンゴ礁年。
いろんなメディアが取り上げることでしょう。
すでに、某プロバイダー主導でアントニオ猪木さんや田中律子さんを担ぎ出してサンゴを植えようというイベントめいた動きも出ています。

でもサンゴを植えるって?
サンゴはすでに多くの方々がご存じのとおり、サンゴ虫という動物が海水中に豊富にある炭酸カルシュームで骨格を作り、そこ褐虫藻という珪藻類を住まわせ、主食がこの褐虫藻から溢れるような栄養分、そして自分のポリプ(触手)を使って流れてくるプランクトン類を捕食している動物です。
サンゴが広がって群生し、ずっとその場所で定着して何千年もかかって地形までも形成していくとこれがサンゴ礁。
しかしながら、大規模な群落が一時的な環境の変化から出来上がってもこれはサンゴ礁とは呼びません。これは、サンゴ群落と呼ばれることが多いのです。

以前にも書きましたが、サンゴ群落は環境が整えば驚くほど速いスピードで広がります。
サンゴは動物ゆえ、産卵という行動をとるため、これで生息域を広げるわけですが、これは今生きている環境から新天地を探す目的で行われる行動のようです。
その場所で広がるには、単に横に広がるだけでなく、破片分散といって、時化た時などに(海が荒れた時)折れた破片が周辺に広がり、そこに着床。新たな骨格を作りだして群落を形成していきます。
ほんの10年ぐらい前までは、サンゴは折れたら死んでしまう、折らないように注意しましょうとダイビングインストラクターは言っていました。
でも実はそんなことで死んでしまう生き物ではなかったのです。
彼らは自分たちが暮らしやすい環境だとあっという間に大きく育ちます。
下の写真は串本ダイビングパーク前10番ブイ付近の最近のものですが、ここは一昨年の台風で根こそぎやられ、全くと言っていいほどなくなってしまった場所です。
Sango013
でもわずか2年でまたこんな群落が広がりだしています。
エダサンゴの仲間はこのスギノキミドリイシのように成長が早く、環境さえ整えばあっという間に大群落を作り出します。この環境に目を向けなければ、だめなのです。

沖縄の周辺海域のサンゴたち、特に本島周辺のサンゴたちがなぜ死滅したか?
沖縄を訪れるときに空から見下ろせばわかるのですが、10年前に比べて沖縄はすごい大都会になりました。立ち並ぶビル群、住居の形態や数もびっくりするぐらい変化を遂げています。
サンゴが生息するためには、光合成をするための光の届く透明度の高い水、適度な水温が必要で、生活排水や土木工事による汚濁する排水の流出がなければ、きちんと広がっていくのです。
彼らが暮らせなくなった海域に折れたサンゴをボルト止めや水中ボンドで接着してどうなるのでしょう?この移植という試みは、過去30年間研究者がおこなってきて成功例はほとんど皆無です。成功した例はその海域の環境が変わったからだとも言われています。

ホテルの立ち並ぶ目の前の海にサンゴを移植するということは
汚い泥水のようなところに金魚を放しているのと同じ行動です。
金魚はうれしいのかな?
移植するためにダイバーがたくさん訪れ、海から上がって水をたっぷり使ってシャンプーを使っていたら、本末転倒。
さらに多くの観光客誘致のために大規模なホテル建設を始めたら・・・

去年一昨年と植えた(植物じゃないのでおかしい表現ですが)サンゴがどうなったのか報道はなかなかされません。死にかかったサンゴの上に新たな別の海藻が付着、これを取り除くためにボランティアダイバーが入り、さらには他のブダイなどにかじられないためか駕籠で囲ったりして育てようとしている写真はみました。
結局1年や2年でどうなったのかは報道されませんね。(おそらく死滅)
かたや、2年でこうなったという上の写真。
大事なのは人為的な植物を植えるような行動ではなく、そこに流れ込む人間の生活排水を何とかしないとだめなのです。
琵琶湖の葦や、そこに暮らす魚たちが死滅しかかった際、地域の人たちが洗剤を無リンのものやせっけん主体のものに変えて排水を変えることで復活させたというのも今や忘れ去られたことでしょう。
これは琵琶湖が下流域の京都や大阪の水がめでもあり、飲み水の水質改善をうたったこともうまくいった要因の一つだったのでしょう。

沖縄を訪れる観光客に、滞在中だけでもシャンプーやめて、バイオマス石鹸使いませんかとか、沖縄の各家庭、ホテルの排水浄化設備に寄付してくださいとやったほうが僕はまだ効果が上がるのでは?と思っています。
また自然を楽しむために訪れる場所で、立派なリゾートホテルや人為的にたくさん作られたゴルフ場などが果たして本当に必要なのでしょうか?
確かに足腰の弱いお年寄りが宿泊する場所としてホテルは必要でしょう。そういったホテルは便利な都市部の那覇周辺だけに作るべき。

でも、大自然の中に作るのはもうやめるべきではないでしょうか?
宿泊するのは建築時に大きなダメージを与える大規模なホテルではなく、ペンションじゃどうしていけないんでしょ?そのペンションの浄化設備に基金や補助金が出るようにしたほうがサンゴたちは守られるはずです。
沖縄本島から南西諸島の島々に今はリゾート開発が進んでいます。
空から見ると石垣島や宮古島も沖縄本島と同じになってきてますね。

まずはこの本州最南端串本の例でお正月明けのテレビ番組で現状をお知らせしようと思っています。収録が終わり、オンエアが正式に決まったら、またこちらでお知らせします。見てみてくださいね。


まあ、サンゴの植え付けは、こういった自然環境に目を向けるきっかけを与えるイベントとして広く一般の人に知らせる一つの手段として、わかりやすいのでいいのかもしれませんが、次のアクションがほんとうは必要だと思っています。30人の興味を持った人がプロバイダーに入って、みてくれる場所ができたのなら、その場所の次の有効活用を期待します。

日本の沿岸環境変えなきゃね!!

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コメント

新年おめでとうございます!

先日赤木さんに教えて頂いた珊瑚移植の件
こうして詳しく解説していただくと良く理解出来ました。

イベントが悪いわけではなくその後の環境をどうするか
そこまで考えないと駄目なんだと改めて思います。

今回のイベントは成果は別としても私にとって環境問題を
考えさせてくれるきっかけになったと思っています。

自然を元に戻すって大変な作業ですね、そう考えると
「戻す」ではなく「破壊しない」がとても大事な事だと
改めて実感しています・・・

投稿: エイジ | 2008年1月 3日 (木) 09時59分

サンゴの移植、とても興味を持っていました。
でもボルトで固定したり、海にタバコの吸殻を捨てるようなダイバーが仕切っているのを見て、嫌になりました。

自然て、人間が手を加えなくてもゆっくりゆっくりもとの姿に戻ろうとするんですよね。
これって人間の体の治癒力に似てる気がします。

投稿: T前田 | 2008年1月 3日 (木) 10時03分

エイジさん
突然書き込んですみませんでした。
でも多くの方はきっと錯覚するんですよね
植林とおなじ感覚で・・・


前田さん
自然の治癒力はいまや、人間の今の生活状態を変えないと、自然治癒力の1.2倍で破壊が進んでいるといいます。アメリカ型の生活だと、1.8倍から2倍。日本人はこの生活にあこがれ、それに近づこうとしてきたわけですよね。

投稿: フォトグ@赤木 | 2008年1月 3日 (木) 21時42分

昨夏、お世話になった沖縄某離島のサービスの社長さんは、「折れたサンゴも他のサンゴの上にのっけておけば、くっついて再生するんだ」と言って、実際水中で一生懸命エダサンゴの塊をのせておられていました。ちょっと驚いた話なんですけど、これって本当なんでしょうか?
沖縄でのサンゴ礁の破壊が続き、串本や他の本州地域でのサンゴの群落の拡大は、温暖化による水温の上昇も関係しているのでしょうね。どちらにしても、人間の活動が影響しているには違いはないので、耳と胸の痛い話です。
あ、ちなみにあちきは潜ったあと大抵水を浴びるだけ(ひどい時には潮かぶりのまま)で帰ってきますが、これは環境に優しいとかではなく、単に面倒くさいだけだったりします。

投稿: なみへぃ | 2008年1月 3日 (木) 23時02分

なみへぃさん
確かに折れたサンゴ同種なら(遺伝子が同じなら)ひっつきやすいでしょうね。
でもわざわざそうやって引っ付けなくとも
エダサンゴならひっつくよりも健康な個体が伸びて成長するほうが早いと思いますよ。
また、砂地じゃなく、岩盤の上でも同じだと思います。そこが生息に適した環境ならね。
破片分散ってそういうことですから・・・

投稿: フォトグ@赤木 | 2008年1月 4日 (金) 00時10分

赤木先輩お久しぶりです。啓光学園、芸大とお世話になりました多田ですが覚えていらっしゃるでしょうか?私はコマーシャルフォトを十数年やってたのですが少々訳がありまして、現在東大阪の小阪の近くで寿司店を経営しております。先輩の写真は朝日新聞誌上などで拝見させて頂いております。大変、ご活躍なさっていらっしゃるようで嬉しく思っております。又、こちらの方においでの折りには是非お寄り下さりませ。魚正いまい06ー6787ー5563です。ご連絡お待ちしております。 多田 潔

投稿: 多田 潔 | 2008年1月16日 (水) 22時04分

多田さん
懐かしいですなあ
一度お邪魔しますね。

食に関しては「つり人」という全国誌で連載していましてこれをまとめて昨年「渚のスローフード」を刊行しました。寿司屋さんにはぜひともお邪魔せねば!

投稿: フォトグ@赤木 | 2008年1月17日 (木) 09時33分

赤木さま、ご無沙汰しています、サンゴを植えてください事務局のなかむらです。

年始にはメールをありがとうございました。現場を知る方の貴重なご意見、ありがたく受け止めました。ぜひほかの人にも読んでもらいたかったので、わたしのブログでも紹介させて頂きました。トラックバックもさせていただいています。

サンゴをきっかけに、自分自身の行動にも自覚的になりたい、まわりの人にもなってほしい、と思っています。

今後ともご指導、どうぞよろしくお願い致します。ありがとうございました。

投稿: なかむらゆうこ | 2008年1月30日 (水) 23時24分

なかむらさま
ご理解いただけてうれしいです。
ちょっと事務局の方にどうとられるかが心配でしたが、このイベント自体を否定するものではありません。サンゴ移植は一般の方に注目いただくきっかけとしていい試みだと思います。

四国宍喰町は
15年ほど前に沖縄のサンゴを移植した前例があります。ここも生息環境がサンゴにとって適していたのか、大きな群落が形成されていますが、
本来なかったサンゴを移植したことによって、生態系に少し悪影響がでている部分もあることをお伝えしておきます。

願うのは一人一人の方がサンゴの生息環境を考え、例えば生活排水の在り方をちょっと工夫するとか、シャンプーをせっけん素材にするような運動も起こせたらと・・・
沖縄への往復機内誌などでこういった取り組みを呼びかける記事とかをやるべきですね。
広く一般の人にご理解いただくことが大事ですよね!

投稿: フォトグ@赤木 | 2008年1月31日 (木) 18時26分

赤木さま

コメントありがとうございます。
移植というのは、元の場所にいる生き物もいるわけですから、なかなか難しい問題だと思います。
サンゴを植えていくことを呼びかけるだけではなく、生活排水などのことも、ブログで考えてゆけたらと思っています。機内誌のアイデアは、よいですね!ちょうど知人で機内誌にかかわっている人がいるので、提案してみようと思っています。
いろいろとありがとうございます。

投稿: なかむら@サンゴ植えてください事務局 | 2008年1月31日 (木) 23時38分

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» 水中写真家・赤木正和さんの考え [サンゴを植えてください事務局 バズログ]
サンゴを植える、というのは根本的解決にはならない。「必要なのは、サンゴを植えることではなく、サンゴが育ちやすい環境を整えること」。貴重な意見を寄せてくださった、水中写真家さんがいます。赤木正和さんの意見を、引用させていただきます。・・・・・・・・・・さて、今年は国... [続きを読む]

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