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2007年11月

育てる漁業

Iseebi_2 今の日本の漁業を支えているのは養殖といっても過言ではない。
しかしながら、持続させる資源というと面で見てみると、枯渇に向かう方向性を向いていると言わざるを得ない。
人気のコミック「美味しんぼ」という漫画の最新号でこのことについてテーマにあげているのをみた。僕なりに感じていることや今伝えていきたい方向性がそこに垣間見えて、こういったことに関心を持っていただくには漫画という媒体はすごい影響力を持つんだろうなと思っている。
 作者の方は真剣に食を取り上げようとしているのだけれど、その本質というか、根底にある部分がピンと芯が通っているので長期連載になっているのだろう。
しかしながら、バックナンバーを見ると、陸から見た取材中心のようで、水中から、海の中から見たら、また違った見え方がしている部分もあるので、こういった部分でジョイントできたら・・・協力できたらなんていう想いが少し芽生えている。
そんなの無理だとか思わずに願っていれば、いつか接点は出てきてお互い相乗効果になるようなことが起こると思っています。
 「夢想わねば願かなわじ」   好きな言葉ですが 武 豊さんも同じこと言ってますね。

さて、僕なりに見てきた海の出来事で、関連する話を一つ。
伊勢エビは非常に高価で、多くの漁師が冬になると一攫千金を頭に描いて毎夜エビ網を仕掛けに行く。だいたい紀伊半島だと11月~よく年の5月くらいまでほぼ毎日、時化(しけ)ない日は思い思いに網を仕掛け続けている。
だんだん漁獲高が落ちて今ではエビ網自体が衰退の一途に向かっていると聞いたが、こういった部分はちょっと目先を変えるとずいぶん変化が起こるものなのだ。
和歌山県串本町の一部の漁協は、このエビ網漁を全組合員で見直し、エビ網を入れるシーズンを年間に非常に短期の二回に限定。
入れる人員も漁協で選出した人のみが行ない、全組合員が均等に水揚げを分配するようにしたそうだ。
すると当初の数年は変化がそれほどなく、漁獲高は低迷したままだったが、4~5年後から漁獲高が向上。今では年末年始に全組合員に分配してそれぞれ80万前後の水揚げが2度行なわれるようになっているという。
驚くべきは今年の1月に見た光景。
この漁協で昼ごろ伊勢エビを一匹一匹計量して船に積み込んでいるではないか。
聞けば、これから余剰分を海に放流に行くのだという。
その重量なんと700Kg!
1kgあたり5000円だから売ればいくらになるか・・・
でも海に還すことで翌年からの安定供給が見込める。
一時的に豊漁だからと乱獲に走ると、値段も下がるし、しっぺ返しが来るのは今までの昭和からの歴史でたっぷりとわかっているはず。

こんなことを著書の最新刊「渚のスローフード」に書いています。
興味を持っていただければ幸いで、もし読む機会があれば、知り合いとのちょっとした会話で話題にしていただきたい。
そうすれば少しづつでも、水産資源の保護、われわれの食が変わっていくのではと思ってもいるのです。

海は広く大きく、うまく有効活用すれば、われわれ日本人が食べる蛋白源の大部分を購えると思っています。沿岸の開発方法と漁業の見直し。今こそやるべき時期なんですがね・・・
写真は伊勢エビの刺身
うまいよねえ!
国内外、マグロもタイもブリも車海老…(ちょっと違うがバナメイエビ、ブラックタイガー)も同じ。
こういった高級食材を広く一般の人たちに年中、いかに安く供給できるかといったことばかりにあまりにも向かいすぎたんじゃないでしょうか?

特定の高いものを養殖で増やそうとすると自然の中では絶対ひずみが生じます。
杉林の植林も同じですよね。!!

今の時期なら安くておいしいアジやサンマ、イワシやサバ
旬というのを今一度日本人は思いださなきゃいけないんじゃないかな?



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記念写真

Hq9r10562  今年6月、串本海中公園のマリンパビリオンが全面改修されている。
 ここは1970年に海中公園法というのができて海中公園という海域が制定され、そこにはじめて建てられた、日本で初めての海中公園研究所(錆浦研究所)ができた場所なのだ。
その研究所の先生方が学芸員を務めるこの水族館は、かなり老朽化が進んでいたものの、マニアックな展示で、水中生物に詳しい人ほど「ほーー」っと唸る展示も多かったわけだが、どこがどうすごいかというと、ほとんどの水族館が他の海域や世界中から展示物を運び込むのだけれど、この串本マリンパビリオンに展示されている生き物が、この周辺海域で捕獲された生き物だけで構成されているという点だ!
 写真のメガネモチノウオ(ナポレオン)もそうだし、サメもウミガメもそう。
さらにちょっと汚く感じる大水槽の壁面が実はすごいのです。
この壁面にはさまざまなミドリイシサンゴや生き物が生きているのですが、実は外部の海水を濾過、循環させて、上部からの自然光とライトの組み合わせで飼育ができているのです。
 サンゴは体内に渇虫藻を住まわせ、その光合成で生み出される栄養分をいただいたり、呼吸も体内の植物とのバランスで生きているわけです。
以前の日記にサンゴは決して弱い生き物ではないと書きましたが、人工飼育がいかに難しいか、人間を取り巻く環境との関連がいかに大事かを教えてくれる生き物でもあるわけです。
 地味なんですが、この展示方法、遠くカナダのモンタレー水族館や巨大な水族館の学芸員が勉強のために多く訪れてもいるのです。
 ほとんどの水族館ではサンゴはカラフルなグラスファイバー製であったり、共生する生き物が作りものに住まわされたりしていますが、ここではできるだけ宿主(例えばヤギとビシャモンエビなど)ごと水槽展示がされています。
 サンゴの移植イベントがもてはやされますが、移植したサンゴはそのほとんどがうまく生育しません。植えつけられるその環境が問題なのです。つまり、ホテルや周辺に開発の手が伸び、生活排水などで汚染されてそこに暮らせなくなったのがサンゴたちなわけで、彼らをその汚染された環境に無理やり水中ボンドやボルトで固定しても、大きく育つわけがないのです。
 ここの地味な水槽には、そういった飼育の難しさと共に彼らが大きく育つためにはどういった環境が必要なのかが見え隠れしているのです。
私たちが暮らしている便利な生活環境ですが、その一部を見直すだけでも多くの生き物が救われる。サンゴを水中ボンドで固定しに潜るのはいいのですが、その後でシャンプーを使って髪を洗い、生活排水をそのまま流していては本末転倒です。
 またその場所以外のサンゴを持ち込むことは生態系のバランスを崩すことにもなりかねません。

たとえば、琵琶湖の湖北で無リンの洗剤を使おうという運動が起こって、その周辺住民の方々が石鹸を見直したり、流す排水を考えたりして、葦や多くの自然が戻りました。
自然を守ろうというのなら人間がダメージを与えている環境に目を向けなければならないのです。
Azahata_2 この写真はマリンパビリオン内に作られているスペースで記念写真を撮る場所になっているのですが、このアザハタくんはダイバーならおなじみの「アンドの鼻」で撮られたものです。

バックの背景写真、撮影は僕なのですが、まったくの自然環境!
串本の海は素晴らしい!
この自然残していきたいですね!

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