マグロ
さてさて、忙しさにかまけてBLOGのアップを最近していなかったのだけれど、ふと気付いたら海の食というタイトルの割には、まださほど食に関することを取り上げていなかったことが判明。で、少し自著の「渚のスローフード」の中で出した話を膨らませて書いてみることにする。
近年水産資源の枯渇が叫ばれ、20年後には水産資源が地球規模で危機的な状況に陥ると多くの学者が述べている。日本人は水産資源に関して言えば直接の消費で文句なく世界一だ。もっとも最近その代名詞のように挙げられるのがマグロ。
日本人のマグロ好きは誰もが認めるところで、特に関東の人にとってみれば特別な存在だと思われる。
和歌山の近大水産試験場ではクロマグロの完全養殖を目指し、三代目までの人工孵化に成功した。これが一般に流通しだし、資源量を増やすまでの稚魚放流というところにこぎつけるにはまだしばらく時間がかかりそうだ。
うまく行けばいいのだけれど・・・
では、今、実際に流通するマグロの養殖はどういったシステムなのだろうか?
案外養殖というものは卵から孵化させて育てているケースがそれほど多くないのだ。
一番流通しているハマチ(ブリ)だってモジャコと呼ばれる沖合で流れ藻について暮らしている稚魚を捕獲、これを全国の業者に販売、養殖いけすで育てるということになっているのだ。当然のことながら天然資源が枯渇、育てるためには1トンのハマチに対して10トンのイワシなどの小魚を使っている。(場所によっては輸入の餌…後述)
ところが、養殖業者は儲かっているかというとそうでもなく、現在は消費がだぶつき気味で価格が下がり、むしろ赤字の業者もいるようだ。
マグロも然りで、多くの場合、沖合で稚魚を捕獲、育てて流通にこぎつけているのだが、現在はそこそこいいお値段が付いていて、商売としてはいい状況にあるようだが、みんながやり出すとどれほど続くかはちょっと疑問符が付いてしまう。
身質は当初全身トロといわれてきたものと違い、エサの与え方を変えることで赤身、中トロ、大トロの配分を変えることが可能になってきた。国内での生産は質の向上を目指す方向で動き、業者によっておいしいマグロが安定供給できると、一見喜ばしいことのように思える。ところが天然資源にダメージを与えることは、今のやり方では間違いない。
養殖いけすがもたらす沿岸環境の汚染も間違いなく起こる。
日本人が開発、海外で進められてきた畜養というスタイル。
そこそこの大きさのマグロを捕獲したら、いけすで数ヶ月間たっぷりと餌を与え、トロの比率を増やし、丸々と太らせて日本に出荷されている。地中海や、オーストラリアで盛んな方法になっているが、この与えられている餌が問題だ。
チリや遠方からフィッシュミールというかたちで長距離輸送で送られている人工飼料が、輸送中の乾燥による発火を防ぐために抗酸化剤の添加を義務付けられている。
そのため地中海産のマグロは国産のものに較べて50倍ものダイオキシンが検出されています。もちろん現地での環境汚染も・・・
紀伊大島で育てられている養殖マグロはその点、近海もののアジや冷凍サバなどが中心に与えられているのである程度は安心といえるかも知れません。
このあたりの情報開示を消費者が求めないといけませんね。
今現在日本の養殖のための餌も60%以上が輸入に頼っています。
日本は海洋王国といわれるとおり、経済水域が世界で6番目の面積を保有しています。
陸地の面積は世界で60番目ですが、この海域の膨大な水産資源をうまく活用する方向で沿岸開発などを進めていくべきだと思っています。
僕は学者ではありませんが、海辺を見てきた、あるいは、いけすの下を潜ったり、いけすの中に入ったり、沿岸がどう変化してきてそのためにどういう風に生態系が変化してきたか、一般の人よりも多く見てきたような気がします。
そんな経験則からですが、日本の沿岸環境をうまくコントロールし、漁業の形態を見直せば、日本人が自国で消費する水産資源は自分たちの海から得られるのではないかなんてことを考えて、そういった話を広めていきたいと思っている今日この頃です。
ゆえに、大阪市の環境学習センターや、いろんなところでの講演依頼があるとやっちゃってるわけです。最近は東大阪のものづくりを推進している中小企業の方々のご依頼でちょっとだけそういった話をさせていただく機会を得ました。来月も天満橋でやっちゃいます。
またこの8月に発刊した「渚のスローフード」内でもただ単においしいもの食べておいしいお酒を楽しむというだけではなく、今直面する漁業の問題などにも触れています。
よろしければ一度読んでみてくださいね!!(ちょっと宣伝)
写真は串本町和歌山県水産試験場そばの「水門まつり」で食べた養殖ホンマグロカマ焼き・・・
すごい脂が出てきてうまいっす!
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