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酸素って

酸素って人間にとって絶対必要なもの。
酸素を吸うことで、空気中から酸素を取り入れることで
体がどうなるかって考えたことありますか?
植物は二酸化炭素を光合成して酸素に変え、われわれの大切な酸素を作り上げてくれます。サンゴも動物で、骨格や体内に住まわせている渇虫藻という植物に光合成をさせ、栄養分もいただき、酸素もいただいています。
栄養分はたっぷりと余るので余剰分は粘液として放出。これをエビカニやチョウチョウウオたちが食べているとは以前の日記に書きました。
でも高水温になりすぎるとサンゴは自ら渇虫藻をすべて放出してしまいます。
これはなぜか?
光がたっぷり当たって、高水温で光合成が全開のように働くと、当然のことながら
高濃度酸素を作り続けます。
酸素は動物にとって必需品でありながら、過剰にありすぎると毒性を発揮しだします。
どういうことかというと、なぜ動物が酸素を必要とするかというと、
その体内の循環から不要なものを排泄燃焼するためなのです。
言いかえると老化した古い細胞や傷ついた細胞を燃やして捨てるためなんですね。
もちろん新しい細胞を作り出すために必要なことなのですが…怪我をした時や
手術後に酸素吸入をするのはこのためともいえます。(必要なパーセンテージに薄めてですが)

オキシドールという過酸化水素水で怪我をした時に消毒をしますが、
あれは高濃度の酸素で傷口についた雑菌を殺してしまうのです。

が、健康な周辺の組織もジュワーと泡立つほど傷つけてしまうのです。
自分の細胞も殺しちゃう。だからオキシドール使うと傷口の治りが遅くなったりします。
また、活性酸素という言葉をご存知でしょうか?
高年齢になって循環機能が低下してるにもかかわらず
たくさんの酸素を取り込み過ぎると身体にはよくないのです。
ガン細胞をも活性化させてしまったりすることがわかってきています。

話は変わって、僕はダイビング後の安全減圧に高濃度酸素を使った高濃度ナイトロックスで安全マージンを稼いでいると以前の日記で書いていましたが、
酸素はこういった危険性も持っているのです。
酸素中毒は恐ろしく、たとえば、100%の純酸素をちょっと深場で吸うとどうなるか?
いきなり呼吸困難に陥り意識がなくなってしまうのです。

だから、安全減圧に有効だとわかっていながら、何パーセントの分圧で使用するかとか、
どのくらい使うのか、きちんとした知識がないと危ない面もあるのです。
今、串本のシーマンズクラブでは、スタッフユースオンリィで80%濃度のナイトロックスを
安全減圧時に利用しています。
ここは、いいと思うことを積極的に取り入れる素晴らしいサービスですが、スタッフだけ吸ってずるいとか、何でお客さんに使わせないのかという声を蔭から聞いちゃいました。
それにはこんな訳があったのです。
また、加速減圧という言葉がもたらす危険性もあって、このガスを(たとえば80%ナイトロックス)吸ってれば、減圧停止時間を短縮できるから早く上がることができるって短絡的に考えて、より長く深く潜ろうと考えると、より危険な領域に突入してしまう訳です。

だからスタッフユースのみなのです。

ちなみにダイビング後や浮上時、酸素が窒素の排出になぜ有効かというと、体内に溶け込んだ窒素は呼吸によって肺からしか排出されないのですが、呼吸してるガスが、空気のままだと78%が窒素でできている空気は、うまく体内の溶け込んだ窒素を排出するのに適していない訳で、(食塩水を同じ濃度の食塩水で洗うようなもの…圧力差があるので多少は抜けていきますが)純酸素を使えば、溶け出しての排出効果が上がる訳です。(水に食塩水からとかして薄めるみたいな感じ)

約5分間純酸素を吸うと、体内の血液中に溶け込んでいる気体がすべて酸素に置き換わるといいます。ゆえに加速減圧は効果的なんですね。

また、チャンバーでの高圧酸素治療が有効なのは、体の中で気泡化している窒素のバブルが高圧下で酸素の溶け込みに置き換わってくれれば、酸素は周辺組織が消費するので体内で血行障害を起こしていたりするバブルが自然消滅するという理論を利用しているのです。ただ、酸素が多すぎると身体に良くないのは前述のとおり。
動物にとって必要なはずの酸素は、実は両刃の剣なのです!!
写真は南紀シーマンズクラブのスタッフ。
Hq9r88342




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コメント

うーーん、酸素の使用についてはちゃんとした知識を持って
運用する必要がありますよね。
でも、現状ではその知識をきちんと広める人たちが少ないような気がします。
うーーん、どうしたら良いんでしょうか?

でも、上述の、スタッフオンリーで80%ナイトロックスを使ってることについての陰口については、通常のPADIのナイトロックスでは40%までの規定されているので、使えないのは当たり前といえるのではないでしょうか?(外してたらごめんなさい)

投稿: seisei | 2007年9月14日 (金) 23時10分

酸素の話とっても勉強になりました。
なくてはならないけど、毒にもなる、、、、、
深いですね、、、

オキシドールよく使ってましたが、細胞も壊してるとは、、、、、控えまーす

投稿: 花梨 | 2007年9月14日 (金) 23時33分

酸素。生命にとって欠く事の出来ない存在だけに、興味深いですね。
しかしそれにしても、こうした酸素に関する事実をPADIは何故もっと広く喧伝しないのでしょうね…。


↓あと、酸素で思い出したのですが、佐藤宏さんが以前こんな記事を。
http://www.aquageographic.com/~sato/essay/020511.html

投稿: 川合亮輔 | 2007年9月15日 (土) 02時35分

蔭口か…なんだかなぁ。
知識がないと危ないのよって事を理解してないからですよね。レギュさえくわえたら吸えちゃうんだもん、良いじゃない的な発想なんでしょうか。

しかし「ずるい」って…何それ?子供じゃないんだから(^^;
リスクが減ると聞けば吸いたくなる気持ちは分からなくはないけど…本来それを吸わないとイカン様なダイビングは一般ダイバーはしちゃダメなんでは??
情報やモノが溢れる中、知識は浅く広がってるせいなんでしょうか?
知識の浅い事を恥じず、「ずるい」と非難する前に何故それが必要なのかを質問出来る人が増えれば良いんですけどねぇ…

投稿: ねこ | 2007年9月15日 (土) 15時02分

seiseiさん
陰口というのはちょっと表現が違ったかもしれませんね。
カメラ派ダイバーの一部に、あるいはインストラクターの一部に自分も吸えればもっと深くギリギリまで潜ってられるのに、どうして吸わせてもらえないんだという声ですね。
たまたま持っているダイコンが加速減圧対応のものだったということで使ってみたいということでしょう。でもたまたま持ってるだけでは、その危険性を知らない状態で使うととんでもない事故に繋がる可能性も持っているわけです。
40%ルールは、レジャーダイビングでナイトロックスを導入する際、一般機材で(ナイトロックス対応レギュを使わずに)使用するナイトロックスが40%未満ならトラブルの元にはならないであろうというところから、PADIやNAUIなどはこれをベースにナイトロックススペシャリティーを組んでるわけですね。(レジャーダイビング用)
80%は想定外。専用の機材がいりますしね。オイルレスのレギュレーター。ちなみに僕が使っているのも、シーマンズさんが使ってるのも、各部Oリングをすべてオイルレスシリコン製に組替えた専用のものです。

投稿: フォトグ@赤木 | 2007年9月16日 (日) 08時44分

花梨さん
酸素って深いですね。

河合くん
前述の40%ルールの縛りがあることと、ナイトロックスの使用にあたって、紀伊半島ほど日本全国でナイトロックスがスムーズに使用できる環境がないこと、その危険性をあえてマニュアルに盛り込むのは、今のところ指導団体としていい方向ではないということでしょうね。

佐藤さんのブログ今見てきましたよ。
面白い発想だね。酸素が地球上に生まれてきたことによって動物が生まれたというのは確かだし、深海に潜るとチューブワームなどわれわれの常識では猛毒になるはずの硫黄を食べて生きている生き物もいるわけですよね。

ただチト気になったんだけど、無制限ダイビング(リゾートで出来たスタイル)
あれはダイコンにすべて依存したダイビングをするとすごく危険です。実際にダイコンの多くのプログラムが一日に2本までのダイビングを想定していたり、3本までしか考えておらず、4本5本目は、あるいは連続して連日潜ることは考えられたプログラムではないという意見を持つ学者さんもいらっしゃいます。
だから、2~3日に一度は潜らない日を作りましょうというのですが...

上がっている時に体がだるくなる、肩がこった、というのは明らかに減圧症の初期症状だし、水に入ったら楽になるというのはさらにその症状ですよ。自覚がないだけで...

無制限ダイブはダイコンの普及に伴い出来たダイビングスタイルですが、明らかに今となってはまずいスタイルが出来たと思っています。
これはあくまでも僕の体感ですが、無制限ダイブを続けるとダイコンを守っていても恐ろしく危険領域に突入しているなあと感じたのです。

体調万全なはずで挑んだ柏島での1週間無制限ダイブ(数年前に出した1冊丸ごと柏島という別冊)
あの時は連日ガイドが入れ替わり、後ろの浜を中心にギリギリダイビングを続けていました。もちろんダイコンはエラーを出さずにね。
ガンガン泳ぎ回るダイビングでもなく運動強度は低レベル。にもかかわらず体のだるさは恐ろしく高レベル。この時以降から、考えたら取材時、加速減圧を毎回取り入れることを決めたのです。
体感的な感じではありますが、加速減圧導入後のダイビング後の疲労感のなさは、いかに体内に残留窒素が溶け込んだ状態が身体によくないことかがよくわかります。
通常取材時の体感がまるっきり違います。
潜った直後に襲うけだるさ、疲労感は連続して潜れば潜るほど大きくなります。
これは明らかに減圧症の兆候です。
一歩手前。

投稿: フォトグ@赤木 | 2007年9月16日 (日) 09時29分

ねこさん
今販売されている
ダイブコンピューターに使ったことがない人でも、知識のない人でも(インストラクター含む)とりあえず使える加速減圧モードが組み込まれているからかもしれませんね。
日本ではナイトロックス自体が欧米ほど普及していないことを想定外で販売されているわけで、たまたま買ったダイコンがその機能を持っていると使えるじゃん自分は...になっちゃうんでしょうね。
使うためにはその危険性ややっちゃいけないこときちんと学習してからでないとダメなんですけどね。

投稿: フォトグ@赤木 | 2007年9月16日 (日) 09時35分

日本で加速減圧が普及しないもう一つの原因は、高気圧作業安全衛生規則の第35条に潜水作業者に水中で純酸素を吸入させてはならない。
とあるからなんですよね。

ついこの間、横浜で開かれた高気圧学会の聴講に行ってきたんだけれど、その際、以前某SNSコミュで僕が書き込んだ、レギュが原因で起こしたという火災事故の件で「ほんとに燃えるの?うそやろ、その話」って聞かれて
僕も信頼できる情報だと思っていたのですが、不安になってきたので当事者ご本人に聞いてみました。すると、チタンレギュで火災が発生、事故に遭った当のご本人から直接僕自身が確認「やけどで40日間入院した」という話だったので、あらためて警告です。
高濃度酸素を普通のレギュで使うのは絶対やめましょう!

あと、専用洗浄タンクに酸素を入れた中に空気を移充填して作り出す方法で、海外では爆発死亡事故が数例発生しているのは紛れもない事実のようです。

投稿: フォトグ@赤木 | 2007年11月14日 (水) 10時57分

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