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2007年9月

減圧

Maguro0004スクーバダイビングは非常に楽しい!
日常生活で疲れたストレスを忘れることができたり、
ありとあらゆる生き物たちの息吹を見ることができるわけだから。
しかしながら、本来陸上に適応して進化してきた我々が、生息できない(息ができない)環境に無理やり呼吸器を付けて潜って行くわけだから、ちょっと無理もあるわけだ。
非常にマニアックなブログになっちまっているので、少しだけ解り易く考察してみよう。(少しもわかりやすくないぞという突っ込みあれば入れてください…笑)
潜って呼吸することによって、体の中の体液や皮下脂肪にはたくさんの気体が溶け込んでいってしまう。圧力をかけると液体には気体が溶け込みやすくって、加圧すればするほどたくさん溶けちゃうわけです。おなじみの炭酸飲料コーラを思い出せば、よくわかると思うのですが、ガラス瓶入りの昔のレギュラーボトルや500mlボトルは開栓時に、ドカッというほど泡立ち、そののど越しが爽快そのもの!
それに対し最近のペットボトル(特に1、5Lとかね)はなんとなく泡立ちが悪いように思いませんか?
これはボトルの材質、容積がペットボトルの場合内圧がかけられないからなのです。

人間の体も、深く長く潜って呼吸を続けるとどんどん体の中に呼吸気体が溶け込んでいってしまいます。深かったり、中深度でも滞在時間が長ければ、いっぱい溶け込んでしまいます。
この溶け込むことの考えられる体組織は現在32のコンパートメントに分けられています。
つまり、血液とかリンパ液、溶け込みやすい場所、なかなか溶け込むのに時間がかかって溶けた気体がなかなか今度は抜けて行くのに時間がかかる場所など、分けて考えないとボトルの中のコーラとは違う訳です。
毛細血管の広がり具合、周辺組織に浸透するように溶け込んでいく場所など、差がいっぱいあるのです。
浮上をしていく僕たちのからだの中は、体組織内で溶けきれなくなってきた気体が、目に見えないほど微細なサイレントバブルスという形となって血液中を流れ、肺を通して呼吸をすることで再び肺からしか排出できません。
だから浮上をするスピードが速すぎるとサイレントバブルスが急激に膨張して膨らんだり、溶け込んだ組織内の毛細血管が空気栓塞を起こして血行障害を起こしてしまう。
これが減圧症(俗にいう潜水病)ですよね。

浮上をする際、残圧が少なくなってきているのを心配しながら呼吸をセーブしながら浮上。
安全減圧停止時には、ポロポロというほど少しずつしか呼吸をしないようにしてロープを掴んで動かず時間経過だけを待つ…というダイビングをしていませんか?

呼吸をしっかりしないと排出したいサイレントバブルスが出て行ってくれません。
また安全停止終了、ほいっと手際よく素早くエキジット!
30秒もかけずにスムーズにフィンを脱いではしごをかけのぼる。
かっこいいと思ってませんか?

最後の5m水深、いかにゆっくり時間をかけてたっぷり呼吸をしながら浮上をするかが、体内の血流に影響しない大きさまで(毛細血管詰めてしまわない)気体を膨らまさない重要なポイントです。
微細な泡をドカンと大きな泡にしない。その大きなポイントは浅場。圧力変化が最も大きいのは水深10mから水面下。水面に近づけば近づくほど大きくなるのです。

また一本潜った後でシュノーケリング。きれいな水中にまた潜ってみたくなって、素潜りの練習。
船での移動中イルカを発見!それ行けとばかりに素潜りで追っかける。
これをやると体内の微炭酸状態(溶けてるのは窒素ですが)のおとなしい泡達をシェークするように「泡立て!!」と振ってるのと同じことです。

いくら最後に安全停止をゆっくりして細心の注意を払ってダイブコンピューターの数値を見ながら浮上をしても、チョイチョイと数回4~5mに素潜りしたら、最後の浮上時急浮上を何回も繰り返しやってるのと同じなんですよね。
タンクを背負ってないから大丈夫とご本人は思っているのだけれど、体の中には休憩中もたくさんの窒素が溶け込んだサイレントバブルスがまだまだ流れているのです。

一本潜った後の素潜り禁止!
これって多くの現地ガイドさん、インストラクターさんが案外気にしていないですよね。
気を付けてくだされ! みなさん!

写真はホンマグロの幼魚の群れを安全減圧時に発見!
浅場でこんな光景に出くわすこともあるんですよね。
ダイビングの終盤、早い目に浅場に帰る習慣もつけましょう。残圧がいっぱい残っていたらそれだけたくさんたっぷり呼吸をして体内のガスを抜く。深度を変えずに安全停止時フィンキックを軽くするなどして血流をスムーズにすることを促す。これって重要なんですがね!

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酸素って

酸素って人間にとって絶対必要なもの。
酸素を吸うことで、空気中から酸素を取り入れることで
体がどうなるかって考えたことありますか?
植物は二酸化炭素を光合成して酸素に変え、われわれの大切な酸素を作り上げてくれます。サンゴも動物で、骨格や体内に住まわせている渇虫藻という植物に光合成をさせ、栄養分もいただき、酸素もいただいています。
栄養分はたっぷりと余るので余剰分は粘液として放出。これをエビカニやチョウチョウウオたちが食べているとは以前の日記に書きました。
でも高水温になりすぎるとサンゴは自ら渇虫藻をすべて放出してしまいます。
これはなぜか?
光がたっぷり当たって、高水温で光合成が全開のように働くと、当然のことながら
高濃度酸素を作り続けます。
酸素は動物にとって必需品でありながら、過剰にありすぎると毒性を発揮しだします。
どういうことかというと、なぜ動物が酸素を必要とするかというと、
その体内の循環から不要なものを排泄燃焼するためなのです。
言いかえると老化した古い細胞や傷ついた細胞を燃やして捨てるためなんですね。
もちろん新しい細胞を作り出すために必要なことなのですが…怪我をした時や
手術後に酸素吸入をするのはこのためともいえます。(必要なパーセンテージに薄めてですが)

オキシドールという過酸化水素水で怪我をした時に消毒をしますが、
あれは高濃度の酸素で傷口についた雑菌を殺してしまうのです。

が、健康な周辺の組織もジュワーと泡立つほど傷つけてしまうのです。
自分の細胞も殺しちゃう。だからオキシドール使うと傷口の治りが遅くなったりします。
また、活性酸素という言葉をご存知でしょうか?
高年齢になって循環機能が低下してるにもかかわらず
たくさんの酸素を取り込み過ぎると身体にはよくないのです。
ガン細胞をも活性化させてしまったりすることがわかってきています。

話は変わって、僕はダイビング後の安全減圧に高濃度酸素を使った高濃度ナイトロックスで安全マージンを稼いでいると以前の日記で書いていましたが、
酸素はこういった危険性も持っているのです。
酸素中毒は恐ろしく、たとえば、100%の純酸素をちょっと深場で吸うとどうなるか?
いきなり呼吸困難に陥り意識がなくなってしまうのです。

だから、安全減圧に有効だとわかっていながら、何パーセントの分圧で使用するかとか、
どのくらい使うのか、きちんとした知識がないと危ない面もあるのです。
今、串本のシーマンズクラブでは、スタッフユースオンリィで80%濃度のナイトロックスを
安全減圧時に利用しています。
ここは、いいと思うことを積極的に取り入れる素晴らしいサービスですが、スタッフだけ吸ってずるいとか、何でお客さんに使わせないのかという声を蔭から聞いちゃいました。
それにはこんな訳があったのです。
また、加速減圧という言葉がもたらす危険性もあって、このガスを(たとえば80%ナイトロックス)吸ってれば、減圧停止時間を短縮できるから早く上がることができるって短絡的に考えて、より長く深く潜ろうと考えると、より危険な領域に突入してしまう訳です。

だからスタッフユースのみなのです。

ちなみにダイビング後や浮上時、酸素が窒素の排出になぜ有効かというと、体内に溶け込んだ窒素は呼吸によって肺からしか排出されないのですが、呼吸してるガスが、空気のままだと78%が窒素でできている空気は、うまく体内の溶け込んだ窒素を排出するのに適していない訳で、(食塩水を同じ濃度の食塩水で洗うようなもの…圧力差があるので多少は抜けていきますが)純酸素を使えば、溶け出しての排出効果が上がる訳です。(水に食塩水からとかして薄めるみたいな感じ)

約5分間純酸素を吸うと、体内の血液中に溶け込んでいる気体がすべて酸素に置き換わるといいます。ゆえに加速減圧は効果的なんですね。

また、チャンバーでの高圧酸素治療が有効なのは、体の中で気泡化している窒素のバブルが高圧下で酸素の溶け込みに置き換わってくれれば、酸素は周辺組織が消費するので体内で血行障害を起こしていたりするバブルが自然消滅するという理論を利用しているのです。ただ、酸素が多すぎると身体に良くないのは前述のとおり。
動物にとって必要なはずの酸素は、実は両刃の剣なのです!!
写真は南紀シーマンズクラブのスタッフ。
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National Geo Graphic

553028254_48昨日、ちょっとビッグなミーティングを東京で行なった。ナショナルジオグラフィックマガジンをご存じな方がどれだけいらっしゃるかだが、おそらく新聞テレビの自然科学の担当の業界人なら知らない人はいないという雑誌だ。
過去、毎年何らかの形でこの雑誌のページに掲載していただいているが、(最新は2007年4月号串本のエルトュールル号関連…写真は新発見の巨大ヒトデを掲載した昨年号)
この本を知らない方に簡単に説明すると、
世界30ヶ国語に翻訳されていて、毎月3000万部発行。
ほぼ120年前に創刊(明治時代)。雑誌社ではなくソアイエティ(財団)が発行。
アメリカなら片田舎のロッキングチェアに揺られる老夫婦でも見ているという
誰もが知ってる本です。
数々のプロジェクトを手掛け、あの冒険家(故)植村直己さんのサポートも行っていて、多くの冒険の資金はここから出ていた訳です。
第二次大戦開戦時、山本五十六が購読者で、この雑誌を見てその国力、技術力を判断
早期の講和による戦争終結を提言したというのは有名な話。
また、映画「マディソン郡の橋」に出てくる主人公のカメラマン(クリントイーストウッド)はこのナショナルジオグラフィックの仕事をするために努力していた実在の人物の話だったとか…
僕もブルネイで写真展をさせていただいた際、ナショジオの仕事を毎年やってるというと、
お会いしたあらゆる人に、どういったスタンスで日本で仕事をしているかが、すぐに理解していただけた。

この日本語版は創刊時、日本経済新聞社が出していたが、現在共同出資でナショナルジオグラフィックジャパンという会社になって現在は日本では通販を中心に販売されている。会社は日経プラチナタワービル内ですが…

そこの会議室に、NHK報道トップの方と、現在の水中班若手No1、National Geo Graphic Japan社長、同取締役、同編集長、映像のNational Geo Graphic Channel Japan社長、そして僕というメンツでお話が始まった訳です。

詳しいことはここでは現時点では書けないのですが、Bigプロジェクトが始動することがほぼ確実。これから向こう5年間大変かもね。

集まった方々から様々な意見交換がされたが、ナショナルジオグラフィックチャンネル社長やナショジオの方々のグローバルな視点からの取り上げ方、どういう風に番組企画として通すかなど、すごく濃い内容で改めていい勉強をさせていただいた一日だった。

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